ハンコのリフォームとは

今お客様が手元にお持ちの、既に名前が彫ってある印鑑(印章)を彫り直して、別のお名前の印鑑として生まれ変わらせることを“改刻かいこく”と呼びます。親御さんの形見の実印など大切な印鑑を、捨ててしまうのではなく、新たな印鑑としてリメイクし再利用することができます。

リメイクできる材質

「印鑑だったら何でも改刻できるんですよね?」と問い合わせを頂くこともあるのですが、印材(印鑑本体の素材)によって彫り直しできるものとできないものがあります。

(可)黒水牛、オランダ水牛、象牙など動物の角や牙
貴石(瑪瑙、水晶など宝石と呼ばれるような石)
(不可の物もあり)落款
開運吉相印
×(不可)プラスチック
つげ、黒檀などの植物系の印材
チタン

象牙の印鑑については、販売だけでなく改刻の際にも特別国際種事業者の登録が必要です。キタジは登録事業者ですので、安心してお任せください。

彫り直しの工程

改刻の作業として、大雑把に分けて3つの工程に分けられます。

  1. 印面(字が彫ってある面)を特殊なヤスリで削る(またはカットする)
  2. 削り取った面を平らにする
  3. 新しい字を彫る
方法A. 古い印面を削る
方法B. 古い印面をカットする

改刻できる印鑑の大前提として、まず印鑑の材質が1.のヤスリで削り落とす作業に耐えられる強さのものでないといけません。

プラスチックや植物系の印材は弱いため、ヤスリで字の部分を削り落とすことに耐え切れず割れてしまいます。植物系の印材はさらに、長年の使用で朱肉が印材に染み込んでしまっているので、色も着いて、もう一度印鑑として字を彫るのに不適当です。

落款は割れやすい

落款に使用する石は様々な種類がありますが、総じて言えるのは職人が「かたくてやわらかい」と表現するように、彫ったらほろほろと崩れる性質です。

一個の石を彫り進めていても、硬い部分と柔らかい部分が混在していて、熟練の職人でも硬さの違いの見極めはなかなかできません。彫ってみてはじめて分かります。彫ってやわらかいところ、かたいところに不意に刃が入り、がりっと想定外の箇所に刃が跳び落款特有の字のとぎれやふちのぎざぎざになっていきます。

改刻のときも同じことがいえます。ほろほろと削れるのがそもそも落款の石の性質なので、経年劣化した石をやすりで平らにできるとは限らない、もっと言えば、やすりにかけたあとに改刻のための印材が残るかどうか(全て割れてしまって粉々になってしまわないか)が目で見ただけでは分からないのです。きれいに生まれ変わらせられますよと、プロをもってしても保証が全くできないものなので、基本的に落款の改刻はお断りしております。

落款の石の性質をご納得いただけた上で、どうしても改刻を申し込みたいという方にはお手持ちの落款を見せていただいた上で個別に相談承っておりますので、お問い合わせください。

貴石とよばれる石も、落款ほどではありませんが、経年劣化があると余計にばりっと大きく割れてしまう危険性がある材質です。そのため貴石の改刻もご注文をお受けしていますが、申し込まれる皆様には、稀に印材が割れてしまい、改刻ができない場合があることを了承していただきたく思います。

黒水牛オランダ水牛象牙は安定した硬さの印材のため、改刻に適しています。

印鑑の状態によって難しいもの

どの印材にも共通して、改刻をお受けできないことがございます。

  1. 保管場所が直射日光の当たる場所や高温多湿の場所、虫に食われてしまっている(動物性の印材でおこります)など、保管状態が悪く経年劣化が激しく進んでいる場合
  2. 側面に特殊な彫りこみで模様が入れてあるなど、改刻のために印面へヤスリがけをすると、印材が損なわれてしまう可能性が高いもの
  3. 元々特殊な長さで作られている、または改刻を繰り返すなど、今から改刻のためにヤスリがけをすると印鑑として押す場合、短すぎて押せない長さになってしまう
  4. 黒水牛orオランダ水牛or象牙改刻の注文にご来店されて、実際職人が印材を確認してみると、動物性印材に見た目を似せたプラスチックだった(意外とこのケースが多いです!)

上に挙げたパターンですと、申し訳ありませんが改刻をお受けすることができません。

ですが、どうしても印材の種類の見極め、劣化の度合いの見極めは日々印鑑と接していないとなかなかできるものではありません。

キタジでは、改刻ご注文の方は勿論、将来改刻を考えている方も、印鑑の材質を拝見させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

※職人がいる工場直結の広坂本店で平日ですとすぐ確認できますが、アピタ松任店ご利用の場合、もしくは土日祝のご来店の場合、一旦印鑑をお預かりさせていただく場合がございます。

彫り直す前の注意

なお、改刻する前に必ず、元の印鑑が実印や銀行印などとして登録・使用されていないことを確認してください。一旦削ってしまった印鑑を元に戻すことはできません。

サイズ角系の印材象牙
12mm以下
(姓または名)
9,900円
(本体価格 9,000円)
12,100円
(本体価格 11,000円)
13.5mm
(姓または名)
12,100円
(本体価格 11,000円)
13,200円
(本体価格 12,000円)
13.5mm
(フルネーム)
19,800円
(本体価格 18,000円)
22,000円
(本体価格 20,000円)
15mm
(フルネーム)
20,900円
(本体価格 19,000円)
22,000円
(本体価格 20,000円)
改刻 料金表

残念ながら改刻に適さなかった印鑑は、ご不要でしたら神社で供養いたします。