手彫りと機械彫りについての考察

1. 唯一無二

手彫りは確かに唯一無二になりやすい。

機械彫りでも、唯一無二のものを作るのはかんたんなことである。
要は意識の問題だけである。
手彫りだけが唯一無二のものだと声たからかに主張するのは、かた寄った言い分である。
ただ、この意識の問題はやっかいな側面をもっており、職人本人がこの意識を持たなければ唯一無二にはならないという問題がある。
一方、手彫りは意識しなくても唯一無二になる。
職人の人間性という事があったり、その日の気分で唯一無二の強い意志をつらぬき通せなかった時、同型のものになる。

2. 手彫りだったら文字は美しい

手彫りと字が美しいかということは、全く異次元の問題である。
いやむしろ手彫りにこだわるあまりかえって文字が汚くなる可能性もある。
これも結局は職人のこころざしの問題ひとつであるといえる。

3. 手彫りは価格が高い

作るのに時間がかかれば、値段は高くなるのは当たり前だが、この世界も一般的に手彫りは時間がかかるから、わずか高いようである。

結論

結論から言うと「手彫り」と「機械彫り」は、その言葉だけでは優劣は付けられないと思います。ウデの良い職人さんに気分の良い時に彫ってもらうというあたり前の結論になってしまいます。
強いて言えば、ディスプレイ等がきっちりされているお店が、当たりはずれが少ないとは言えるかも……。
こういう時、思い出すのが次のことばです。「腕の悪い料理人に高い料金を払っても、おいしい料理はできないが、腕の良い料理人に『予算がないから何とかして』とたのんだら安くてうまい料理ができる」
これにつきるのではないかと思うのです。