黒水牛 -Buffalo horn-

実印や銀行印、会社印などとしてよく見かける黒いつやのある印鑑(印章)は、黒水牛くろすいぎゅうと言う素材を使用しています。

黒水牛は、東南アジア産の水牛の角を材料とした、黒光りのする美しい印材です。水牛の角は、角質・皮膚組織が変化したもので、根本部分は骨に被さり空洞になっています。その為に印材として使用できるのは先端に近い部分に限られます。中でも角の中心部を走る芯の部分を使った印材は“芯持ち”と呼ばれ、より価値の有る物とされています。これは希少性のみならず、組織が詰まっている為に品質も安定し、他の部分よりもひび割れなども起こりにくい特性の為です。

牛の角を材料としたものには、他にあめ色をしたオランダ水牛もあります。

印鑑の材質として歴史が長く、経年変化に対する実績もあります。ただし牛の角は象牙と違い、身体で例えると爪と同じく皮膚が変質した物です。まれにタンスや机のひきだしの中で虫食いになるというデメリットはありますが、衣料用防虫剤で簡単に防ぐことができます。

黒水牛は印鑑としてポピュラーな材質なのですが、近年は動物愛護の観点から動物性の材料を避けられる方も増えてきました。そんな方には、柘植つげ黒檀こくたんひのきなどの植物性・木質の印鑑、金属製のチタン印鑑、ローズクォーツ(紅水晶)や瑪瑙めのうなどの貴石の印鑑をおすすめします。