ハンコのコピー品を作ってもいい?

「これと同じハンコを作って欲しい」というご依頼が時々あります。届け出済みの実印や銀行印を紛失した、2本目を別の場所で使いたい、など理由は様々ですが、結論から言うと当店では基本的にお断りしています。

すでにあるハンコとそっくりに作ることを”模刻もこく“と言います。

回覧板に押す大量生産の既製印や、素人が趣味で使う印などであれば、コピー品を作っても余り問題にはならないのですが、実印や銀行印、会社の印などでは事情が変わります。

まず第一に、似たものを作ることは可能ですが、完全に同じにはなりません。実印や銀行印のような登録済みのハンコは、契約やお金などに係わる重要なものですから、全く同じものかどうかをとても厳密に調べます。ぱっと見は同じに思えても、実際に銀行へ行くと「違います」と言われます。

第二に、仮に同じものができたとしても、それは偽造になってしまいます。あなたがどこかで押したハンコの紙(印影)を持って、誰かが勝手に同じハンコを作ろうとするかもしれません。あなたになりすました他人がいつの間にか借金などの契約をしていたら、困りますよね? お店では、そのお客様が間違いなくハンコの持ち主ご本人だと確認できませんので、無責任に同じハンコを作ることはできないのです。

近年は玄関の鍵でも、家主に無断で合い鍵を作って(インターネットの鍵店では、鍵番号のみで作成できる安易なところもあるようです。)家に侵入したという事件が発生しています。

当店で模刻をしないのは、お客様の安全を守るためであるとご了承ください。

なお、ハンコの文字のデザインが気に入っているので、全く同じものではなく似たようなデザインで、というご要望にはお応えいたします。あえて区別が付くように一部を変えつつ、元のデザインに近い文字で作製します。

もし実印や銀行印など登録済みのハンコを無くしてしまった場合は、必ず役所や金融機関に紛失したことを届け出て、新しく作ったハンコを登録し直してください。