ハンコの書体はこれがおすすめ

一般的に印鑑(印章)に使われる書体は、篆書てんしょ体・隷書れいしょ体・古印こいん体など様々な種類があります。どれを使わなければいけないという決まりは無いのですが、実印であれば篆書体と、そこから派生した印相体が定番です。

書体の歴史

紀元前1600年~1000年頃に、今の漢字の原点である甲骨こうこつ文字が古代中国で生まれました。 甲骨文字はその名の通り亀の甲羅こうらや動物の骨に刻まれた文字で、これを火にくべて甲羅や骨の割れ方で吉凶を占っていました。

当時の中国大陸は大小たくさんの国家が乱立しており、地域ごとに様々な文字が派生・発展をしました。万里の長城で有名なシン(紀元前221~206年)の始皇帝が全土を支配すると、それらの古代文字も統一され、国の定めた文字として使われるようになりました。この統一文字を小篆しょうてん、それ以前のバラバラだった文字を大篆だいてんと呼び、区別しています。

小篆はその後「篆書てんしょ」という名称で、21世紀の今日まで「はんこ」の世界で脈々と受け継がれてきたのです。 その間、カンの時代(紀元前206~後220年)には隷書れいしょが、トウの時代(618~907年)には現在手書き文字として一般的に使われる楷書かいしょが生まれます。そしてミンの時代(1368~1644年)に、印刷物やデジタル機器の活字としておなじみの明朝体みんちょうたいが、木版印刷用の書体として作られました。

印鑑に使う書体

篆書体

篆書体
(前田司郎)

実印に使用する書体の基本が篆書体です。漢字の大元でもある篆書は、現在では日常的に使うことはほとんど無いため、あまり見慣れないかと思います。象形文字の特徴を色濃く残しており、文字によっては普段私たちが使う漢字とは大幅に形が異なります。はんこ職人や古文書の研究者など、専門家でないとなかなか読めません。
この「誰でもが書いたり読んだりするには少々難しい」という欠点は、裏を返せば複雑で偽造しにくいという利点となります。そのため、篆書は個人の権利や財産を管理する印鑑にふさわしいのです。

キタジでは、篆書専門の字典に載っている古来からの正統な篆書のみをあえて使用しています。日本で作られた漢字(国字)や異体字など、一部の文字には対応できませんので、ご了承ください。
※ひらがな・カタカナも篆書には存在しませんが、篆書の漢字と並べて違和感のないようにデザインいたします。

印相体

印相体
(前田司郎)

篆書体をベースに、はんこの丸枠に合わせてデザインした書体を、印相体と言います。篆書の文字の線を延ばしたり曲げたりして印鑑の枠にくっつける(接点と言います)ことで、印面に変化を作り、意匠的に発展させたものです。面白さや縁起の良さを感じさせるところから人気があり、今ではオーソドックスな篆書体よりも印相体を選ばれるお客様が多くなっています。
他の印章店では鑑定付きの印鑑を印相体と呼んでいる場合もありますが、キタジでの印相体は「篆書をデザイン化した書体」の名称です。鑑定付きの印鑑がご希望の場合は、開運吉相印をお選びください。

開運吉相印体

開運吉相印体
(清水克彦)

「開運吉相印」は、地元新聞・テレビで多くの方に知られる玉州ぎょくしゅう先生に監修・鑑定していただいた印鑑です。お客様一人一人に合わせた接点・納品日を鑑定により算出し、吉相印専用の特注サイズの印材に彫ります。玉州先生の鑑定文を添えてお渡しいたします。これまで注文されたお客様からは多くのお喜びの声を頂いております。書体を検討する際は、ぜひこの開運吉相印も選択肢にお入れください。

フルネームでなくてもOK

実印は家族兼用では無く、個人を証明する物ですから、当然おすすめはフルネームです。しかし実は、“姓のみ”や“下の名前のみ”でも、戸籍に記載された文字であれば登録できます。女性は“下の名前のみ”で登録する方も珍しくありません。

なお自治体によっては、住民票に旧姓を併記している場合は旧姓で実印を登録することもできます。詳しくはお住まいの自治体に確認してください。

銀行印の場合

銀行印もお金を管理する大切なはんこですから、書体は実印同様に、篆書か印相体がよいでしょう。
銀行印は、“姓のみ”または“下の名前のみ”を彫るのが一般的です。漢字2文字の場合は横書きにします。横書きは昔の看板等のように、必ず右から左へ並べるのがルールになっています。
お子さんにきょうだいでそれぞれ銀行印を作る時には、同じ名字でも区別が付くよう、文字を違えて手描きでデザインしますので、その旨お申し付けください。ひらがなのお名前も、おしゃれにデザインしますので、ぜひキタジにおまかせください。

印相体
(岩倉)
印相体
(昭子)
ひらがな
(ひとみ)

認印の場合

サンプルを見ていただくと分かる通り、篆書や印相体は普通は読めません。これに対し、隷書体・古印体・行書体などもう少し読みやすい書体は、主にみとめ印に使用されます。認印の場合は日常的に使う印鑑なので、誰でも名前の文字を判読できた方が便利だからです。もちろん、認印に篆書や印相体を使ってもかまいません。認印の場合は通常、文字を縦書きにします。

印相体
(升田)
隷書体
(寺井)
古印体
(藤井)
行書体
(加藤)
隷書の特徴

隷書は、横画の始筆(書き始め)と終筆(書き終わり)に特徴があります。始筆はとがらせずに丸め、終筆は楷書と違って止めずに払います。文字全体は、高さよりも幅が大きい横長の形をしているため、ハンコの丸枠には、縦書きにした方が収まりが良くなります。

古印体の特徴

古印体は、名前の通り古びて摩耗した印鑑の風合いを表現した書体です。角は丸く、線も所々で途切れたように薄くなっています。認印などの実用的なハンコにする場合は、あまり途切れ過ぎないように文字を書きますが、落款印のようなデザイン性の高いハンコでは、わざと途切れがちにすることもあります。

さらに読みやすい楷書体・明朝体・角ゴシック体・丸ゴシック体は、デザインの違いを出しにくいので、契約書に押すような印鑑には適していません。シヤチハタ(ネーム印)ゴム印などの事務的な用途のハンコに向いています。